出雲市大社町杵築西、手銭美術館で貴族の楽しみや要人のもてなしに使われた「香」をテーマにした企画展が開かれ、動物をかたどった香炉や茶席を彩った香合が来場者を楽しませている。13日まで。
松江藩主や幕府要人が出雲大社を訪れた際に宿泊した「御用宿」だった手銭家に伝わる、江戸から昭和初期の60点を展示する。中国の清朝時代の青磁作品もある。獅子や牛、ツルなどをモチーフにした香炉を展示。口や鼻から香りが出るユニークな仕掛けになっている。
茶道とも関わりが深く、茶席で使われる香合も展示した。漆塗りで繊細な蒔絵(まきえ)の施されたものから、ナスや桃の形をした陶器まで幅広い。香の調合法や著名な武将が使っていた香を紹介した江戸期の書物、源氏物語の場面を描いた香の道具もあり、目を引く。佐々木杏里学芸員は「生活の中で楽しまれた香の文化を感じてもらい、ぜひお気に入りの作品を見つけてほしい」と話した。
火曜休館。入館料は大人800円、高校生以下無料。
(佐野卓矢)