女子オムニアムで銀メダル獲得を決め、笑顔で手を振る梶原悠未=伊豆ベロドローム
女子オムニアムで銀メダル獲得を決め、笑顔で手を振る梶原悠未=伊豆ベロドローム

 女子オムニアムで梶原悠未(筑波大大学院)が銀メダルを獲得した。自転車競技での日本女子のメダルは史上初。バレンテ(米国)が制した。1日で4種目を行うオムニアムで梶原は最初のスクラッチで2着に入り、続くテンポレースは5着、第3種目のエリミネーションは2着。総合ポイント2位で迎えたポイントレースで順位を守った。

 男子ケイリンで脇本雄太は準決勝2組5着で決勝進出を逃し、7~11位決定戦で1着となって7位だった。新田祐大(ともに日本競輪選手会)は準々決勝1組6着で敗退した。ケニー(英国)が2連覇を達成し、3冠を狙ったラブレイセン(オランダ)は3位だった。

 

女子オムニアム

 女子オムニアムの梶原は「秘策」が的中した。落車のハプニングもあったが、2点差で銀メダルを死守し「日本の女子がオムニアムで世界に通用するということを見せることができた」と、汗がしたたる〓(順の川が峡の旧字体のツクリ)を緩めた。

 2種目を終え70点で3位。4位とは2点差で、9位とも20点しか差がない接戦だ。3種目目のエリミネーションで38点を上積みして2位に浮上、3位に14点差をつけた。

 80周を走る最終のポイントレースは戦況を注視しながら力走した。「電光掲示板を見ていた」という一瞬、ウィルト(オランダ)の動きに反応できず落車。だが「ゴールへ気持ちをリセットできた」と冷静にレースに戻った。

 最後尾が脱落していくエリミネーションが苦手で、だからこそ研究を重ねた。以前から映像で分析してきたイタリアの男子選手の戦法を取り入れ、あえて走る距離が長くなるコース外寄りに位置取った。内側は密集し、進路が狭まるからだ。

 読みが当たり、2種目合計2位につけ内側を走っていたウィルトは進路が無くなり脱落。ここでウィルトを逆転して大差をつけたことが最後まで効いた。

 関係者によると約1週間前の梶原は疲労が少なくて踏み込む力が強く「ペダルが回り過ぎて効率よく力が伝わらない」という状態だった。そこでギア比を大きくしてペダルを重くし、最適な回転数でこいだことも冷静な試合運びにつながった。

 レース直後に「吐くくらいトレーニングした」と話したように、不安から練習し過ぎて調子を落とす傾向があった。だが五輪延期後は体の限界を把握するようになり、直前の沖縄合宿では初めて完全なオフ日を設けたという。自分自身の体力を見極め、世界の速さを意識した賭けも奏功しての快挙だった。

 

 オムニアム 4種類のレースを1日で行う混成種目。一斉スタートで順位を争うスクラッチ、周回ごとに先頭選手が得点するテンポレース、2周回ごとに最下位選手が脱落するエリミネーション、10周ごとに点が入り最終周回で得点が倍になるポイントレースを実施。瞬発力や持久力、駆け引きといった総合力が問われる。