トヨタ自動車は8日、在宅勤務に関する職場からの距離制限を撤廃し、全国どこでも可能にする制度を導入したと明らかにした。出社が必要な場合は距離不問で交通費を全額支給し、従業員の負担を軽減する。育児や介護との両立支援の一環。新型コロナウイルスの感染予防の観点からも出社率を下げたい考えで、新制度で一層のテレワーク定着を目指す。
遠隔地での在宅勤務を可能にする取り組みはカルビーや富士通、JTBなどでも進んでいる。日本最大のメーカーで、系列企業が多いトヨタが加わったことで、その動きが加速しそうだ。
新制度は1日に始めた。これまでは職場から自宅までの距離が65キロ超の場合は通勤に補助はなく、この範囲外での在宅勤務は難しかった。愛知県豊田市のトヨタ本社で勤務している場合、東海3県と長野県、静岡県の一部が65キロ圏内に該当する。
この距離の上限をなくすことで、遠隔地でも業務が可能になった。実家の両親の介護や、単身赴任を解消して子育てに参加するケースなどが想定されている。トヨタは介護や育児を支援することで、多様な従業員が活躍できる環境を整え、企業としての競争力の強化につなげる狙いがある。
新制度は従業員の事情を会社側が認めた場合に適用される。在宅でも業務に支障がないことも条件となる。
トヨタの5月時点での出社率は、本社地区が約5割、名古屋地区が約3割、東京地区が約2割となっており、さらなる低下を目指している。