鳥取地方最低賃金審議会(佐藤匡会長)は10日、2021年度の県内の最低賃金を現行より1時間当たり29円引き上げ、821円とすることを鳥取労働局の石田聡局長に答申した。引き上げ額は02年度に時給で示す現在の方式となってから最大。中央最低賃金審議会の目安より1円高い。

 県内の最低賃金を巡っては、審議会の専門部会でこれまでに4回審議。労使ともに引き上げ自体は一致したものの、労働者側は30円、使用者側は3円と金額に大きな隔たりがあり、議論は平行線をたどった。

 この日の専門部会では、部会長が29円を引き上げる案を提示した。労働者側は了解したものの、使用者側は「(コロナ禍での大幅な引き上げは)廃業の引き金になる」などと反発。全会一致とならなかったため審議会にもつれ込み、会長を除く出席委員11人による採決の結果、賛成6票、反対5票で決着した。

 発効は10月6日の予定で、鳥取労働局は今月25日まで答申に対する異議申し出を受け付ける。

 21年度の最低賃金改定は、中央最低賃金審議会が全国一律で時給28円の引き上げ目安を示していた。島根地方最低賃金審議会は32円引き上げの824円で答申した。 (福間崇広)