鳥取県内で、患者や家族から医療従事者が暴言や理不尽な要求などを受けるペイシェントハラスメント(ペイハラ)が相次いでいる。県内関係機関への県の調査で9割が事例があったと回答。県は2025年度に防犯機器や通話録音装置の整備を補助する事業に乗り出す。
県は24年12月に県内の病院と訪問看護ステーションの全120カ所にアンケート調査を実施。回答した54カ所のうち50カ所がペイハラ事案があったと報告した。病院ではスタッフの体を触る、病状の悪化を看護師や設備のせいにして苦情を言われるなどの事例があったという。訪問看護ステーションでは性的な要求や包丁による脅しもあった。
県が24年12月に立ち上げ、2回開いた対策検討会でも病院からペイハラが原因でスタッフが離職した報告があり、関係機関が対策を求めていた。
県は録音機能付き電話、警備会社への連絡装置や防犯ブザーといった対策機器を整備する病院などに上限5万円で費用の半額を補助。県看護協会のナースセンターなどにつながる専用電話回線を設けて相談を受けるほか、対応マニュアルを作成して関係機関に共有する。事業費2300万円を25年度一般会計当初予算に計上した。
県医療政策課医療人材確保室の前田俊和室長は「医療従事者を守ることを通じて、患者に提供できる医療サービスの量や質が高まってほしい」と話した。(岸本久瑠人)