作家三島由紀夫は今年生誕100年を迎えた。終戦を20歳で迎え、日本人の美や信仰を探し求めた末、45歳で割腹自殺した三島。作品執筆では、観念と現実の調和を目指し、徹底的に現地を取材した。

 若者が追体験する「潮騒」の三重・神島、外国人観光客であふれる京都・「金閣寺」、神が身近になった「豊饒の海」の奈良・大神神社。取材者としての三島の目線を意識しつつ、変わりゆく舞台を歩いた記者が見たものは…。(共同通信=佐藤高立、岡田篤弘、斉藤林昌)

 ▽若者が紡ぐ、純愛の情景-三重・神島「潮騒」

 まずは三重県鳥羽市の鳥羽港から海を渡り、伊勢湾に浮かぶ神島を歩いた。三島は「潮騒」で、神島がモデルの島を舞台に男女の純愛を描いた。作品は映画化もされており、初期の三島の代表作といっても過言ではない。

 三島は執筆前の1953年3月と8~9月の2度、島を訪れている。今も島内には三島が滞在した家などが残されているが、島民に当...