新型コロナウイルスの影響が長期化し、県外に直接出向く出張営業が制約を受ける中、顧客リストの作成や電話営業などを請け負う営業代行サービスが注目される。業務委託した島根県内のメーカーは効率的な営業活動で新規案件の獲得につながった。島根県は販路開拓支援の一環で委託費の一部を助成する制度を新設し、活用を促す。

 協栄ファスナー工業(雲南市掛合町掛合)は、街路樹と添え木を固定する「添木結束クランプ」の県外販売を強化するため、1月に東京都内の営業代行業者に業務を依頼した。

 代行業者が営業先リストを作成し、電話で売り込みを掛け、関心を示した先に資料を送付。ターゲットを絞り込んだ上で、協栄ファスナー工業が直接電話などで商談する。

 資料請求は造園業者やゼネコンなど82社からあり、このうち関東の2社と新規契約が成立した。松本悠社長(38)は「コロナで県外営業が難しく、自社営業はマンパワーも限られる。営業代行を活用し製品の認知度向上に力を入れたい」と話した。

 県の制度は機械金属や電子部品などの製造業者が対象で、営業代行業者や個人に業務を委託する経費の3分の2以内で最大100万円を助成する。

 事務局のしまね産業振興財団によると、今月中旬までに10社が申請した。新型コロナ禍で営業の形も変わり、業務委託のニーズは今後さらに高まるとみて活用を呼び掛ける。(木幡晋介)