「被告人を懲役〇〇年に処する」。映画やドラマで誰しも一度は耳にしたことのあるフレーズだが、いずれ聞くことがなくなるかもしれない。6月1日に施行された改正刑法は刑罰の種類から「懲役」と「禁錮」を廃止し、「拘禁刑」に統一した。この日以降に起こした事件や事故で有罪となった場合に宣告される。刑罰の種類変更は1907(明治40)年の刑法制定以来初めて。犯した罪に対する「懲らしめ」ではなく、再犯防止に軸足を置くことが特徴で、懲役と違って刑務作業が義務ではなくなり、個々の受刑者に合わせた処遇が可能となる。
ある刑務官は明かす。「厳しい指導で『二度と刑務所に来たくない』と思わせるのが改善更生だと以前は考...