16日、アフガニスタンの首都カブールの国際空港前で、警戒に当たるイスラム主義組織タリバンの戦闘員ら(AP=共同)
16日、アフガニスタンの首都カブールの国際空港前で、警戒に当たるイスラム主義組織タリバンの戦闘員ら(AP=共同)

 アフガニスタンを掌握したイスラム主義組織タリバンは17日、これまで抑圧してきた女性も政府の枠組みに参加するよう促すと発表した。敵対勢力や国軍を罪に問わない「恩赦」を与えるとも表明した。AP通信が伝えた。「包括的なイスラム政権」樹立への意欲を示し、国内各派との融和を強調する狙いとみられる。治安維持にも注力し、事実上の統治を本格化させた。 (カブール共同)

 ただ新政権の具体像は依然として不透明で、国際社会の懸念は深まっている。

 バイデン米大統領は16日、ホワイトハウスで演説し、ガニ元大統領が国外に逃げたことや政府軍が十分戦わなかったことを指摘。「アフガン人自身が戦わない戦争で米兵が犠牲になってはならない」と述べ、米軍撤退の判断を正当化した。一方、事態が「想定外の早さで展開した」として見通しの誤りを認めた。

 タリバンは首都カブールを制圧した15日、女性の権利を尊重する方針を表明。2001年に崩壊した旧タリバン政権時代の圧政逆戻りへの懸念を払拭(ふっしょく)するアピールを始めた。緊張緩和を打ち出すことで、国内外の支持を取り付けたい意向がありそうだ。

 秩序の回復を図る一方で治安情勢はなお流動的で、日本外務省は17日、在アフガン大使館を一時閉鎖し、館員を国外に退避させたと発表した。

 タリバンのシャヒーン報道担当者は16日、戦闘員に国民の生命や財産を害さないよう呼び掛けた。カブール進攻後、混乱に乗じた略奪行為が横行しており、タリバンは職務放棄した警察官の代わりに検問所に戦闘員を配置、政府から奪った車両で通りを巡回している。

 新政権を巡りカルザイ元大統領やアブドラ国家和解高等評議会議長らがタリバンと接触している。シャヒーン氏は米メディアに「永続的な平和を築くことが重要だ。権力の独占はしたくない」と説明、多様な背景のアフガン人が参加する包括的な政権を目指す方向性を示した。