なぜそこまで嫌われ、攻撃されるのか。なぜ止められないのか。どれくらいの日本人が悪感情を持っているのか―。埼玉県南部の川口市、蕨市に多く暮らすクルド人たちは、おびえきっている。歯止めのきかない憎悪は、ネットだけでなく日常生活に、選挙にもあふれ出した。

 6月15日午前、JR蕨駅近くのビルの一室に、在日クルド人や、支援する市民たちが集まってきた。毎週日曜に市民団体「在日クルド人と共に」が開いている日本語教室だ。和気あいあいとした集まりだが、団体の代表、温井立央さんの顔は晴れない。

 「正直、きりがない。気にしないように振る舞っていても少しずつ心にダメージがたまります」

 きりがないとは、激しさを増すヘイトスピーチ、ヘイトクライムのことだ。団体ホームペー...