先月ご案内した通り、この連載は今回を以て終了する。理由は幾つかあるが、ネタ切れのためではない。いずれ書こうと考えていた本や音楽を、黙って冥土へ送るのはもったいないので、せめて名前だけでも挙げさせてもらおうと思う。

 その前に、少しだけ過去3年間を振り返ってみる。開始前の予定では、各回1冊ずつ取り上げ、分量は2000字ぐらいと思っていたのだが、どんどん膨れあがって最後は7000字を超えた。1回当たりの冊数も大幅に増えた。見通しが甘かったと言えばそれまでだが、作家がなぜその音楽を選び、どういう意図でこの場面に書き入れたのかと考えるのが、思っていた以上に面白く、また奥深いものだったからである。文が長くなりすぎれば飽きられるとは承知しながら、筆まかせに書き連ねた。多少は厚みも出たと思いたい。

 全体の半分より少し多くが外国文学だった。国内作家の場合も含め、作中から取り出した音楽はほとんど外国ダネである。日本の音楽を素材にした...