時の流れは本当に速いもので、前回の連載から気付けば早くもひと月が過ぎました。7月から「ピアノの森」ツアーで全国を巡ってきましたが、それも9月半ばで閉幕です。振り返ってみれば、あっという間のひと夏でした。

 ピアニストとして舞台に立ち、音楽をお届けできることは、何よりの生きがいであると感じています。ただ、私のこれまでの演奏家人生を語るには、時計の針を少し過去へと戻す必要がありそうです。

 前回の連載でも触れましたが、現在所属しているイープラスとのご縁は、私にとって本当に大きなものでした。それまでは両親が実質的にマネジメントを担い、演奏会の企画から運営まで支えてくれていました。10代、それもわずか12歳の頃から、定期的に自主公演という形でリサイタルを開かせてもらえたのは、信じられないほど恵まれた経験であり、両親には感謝してもしきれません。

 それでも、いわゆる事務所に所属するとい...