石見智翠館―日大山形 9回裏石見智翠館1死三塁、今泉が中前にサヨナラ打を放つ。投手大類、捕手梅津=甲子園
石見智翠館―日大山形 9回裏石見智翠館1死三塁、今泉が中前にサヨナラ打を放つ。投手大類、捕手梅津=甲子園
7回裏日大山形2死満塁、梅津(奥)を見逃し三振に仕留め、喜ぶ米子東の藪本=甲子園
7回裏日大山形2死満塁、梅津(奥)を見逃し三振に仕留め、喜ぶ米子東の藪本=甲子園
石見智翠館―日大山形 9回裏石見智翠館1死三塁、今泉が中前にサヨナラ打を放つ。投手大類、捕手梅津=甲子園
7回裏日大山形2死満塁、梅津(奥)を見逃し三振に仕留め、喜ぶ米子東の藪本=甲子園

 第103回全国高校野球選手権大会で、島根代表・石見智翠館と鳥取代表・米子東が熱い戦いを繰り広げた。両校とも、中止となった昨年大会を挟み2大会連続の出場。石見智翠館は2、3回戦で1点差の接戦を制し、4強入りした2003年以来、18年ぶりのベスト8進出を果たした。開幕試合に登場した米子東は初戦敗退しながらも、九回の攻撃で持ち味の粘りを発揮した。両校の戦いを振り返る。

■石見智翠館 8強入り支えた堅守
 石見智翠館は、2回戦で弘前学院聖愛(青森)に4ー3で逆転勝利、3回戦は日大山形に5-4でサヨナラ勝ちした。雨で初戦が6日ずれ込む中、調子を合わせて接戦の強さを発揮。準々決勝は智弁和歌山に1-9で大敗したが、次につながる戦績を残した。

 2、3回戦は初回に先制を許し、追う展開。島根大会ではなかった戦いだが、「どんな状況でも最善を尽くす」と集中力は切れなかった。宮本赳希の勝ち越し本塁打、今泉秀悟のサヨナラ打は、その表れだろう。

 先制されても動じずに勝利をつかめたのは、無失策の堅い守りがあったからだ。ピンチでの好守が光り、投手陣を支えて攻撃へのリズムをつくった。

 準々決勝の智弁和歌山戦は、甲子園常連校との力の差を感じた。犠打を絡めて確実に好機を広げ、効果的に加点するそつのない攻撃に投手陣は9失点。打線は、伸びのある直球と切れ味鋭い変化球を持つ相手3投手に力を封じられた。

 甲子園で山崎琢磨、山本由吾、豊岡慶人の3投手は粘り強い投球を見せた。全国で戦うには、計算できる複数の投手を育て、個々のレベルを上げる必要がある。新チームには2回戦で同点適時打を放った捕手の上翔曳、3回戦でサヨナラ打を放った今泉、山本由などが残る。今夏の戦いを成長の糧とし、さらに上位に進んでほしい。 (報道部・原暁)

■米子東 12安打生かし切れず
 米子東は1ー4で日大山形に敗れ、1986年以来、35年ぶりの夏の勝利はならなかった。相手を上回る12安打で再三、好機をつくりながらも、決定打を欠いたのが最後まで響いた。

 初回に2死満塁の先制機を得たほか、五、六回は連打が出たが、相手主戦を崩せなかった。九回、3連打で1点を返し意地を見せた。さらに安打で無死満塁。3点差を九回に追い付いた鳥取大会決勝の再現が期待されたが、140キロ台後半の直球を軸にした2番手投手の前に3者連続三振。紙本庸由監督が「粘りは見せたが、鳥取大会と同じとはならない」と話したように、レベルが上がる全国大会で1点を奪うことの難しさを感じさせた。

 先発舩木佑は序盤に3失点しながらも粘り強く投げ、2番手の藪本鉄平は低めに直球を集めて五回以降を1失点でしのいだ。変化球を含めた制球力を磨けば、勝負できるはずだ。

 試合に出た11人のうち、2安打した4番太田舷暉と2番藪本、代打で適時打を放った徳丸航祐ら6人が2年生。新チームでの活躍が楽しみだ。

 鳥取県勢は2014年に八頭が勝利して以降、中止になった昨年を除き、6大会連続で初戦敗退。得点が奪えずに敗れる試合が続いている。1点ずつ確実に積み重ねる厳しい攻めを期待したい。 (米子総局報道部・柴田広大)