戦後80年の長い夏が終わりかけた頃、日本近代文学館(東京都目黒区)の秋季特別展「滅亡を体験する―戦渦と文学」(11月22日まで)に足を運んだ。戦時下でペンを持っていた文学者たちはどんな孤独を抱え、何を書き残したのか。それを示す意欲的な企画に感銘を受けた。
検閲や報道規制があってもなお、人は「真実は何か」を見極め、書き残そうとする。そのエネルギーが肉筆から伝わってくる。戦時下や戦後の激動の中で格闘する者たちの姿に触れて、救われたような気持ちになった。
この展覧会の目玉はずばり、日記である。ここでは主に作家で詩人の高見順と、フ...