においが少なく灰が出ないと若い世代に人気の加熱式たばこを乳幼児が誤飲する事故が全国的に相次ぎ、島根県内でも発生している。火が出ないことから家庭での管理が甘くなりやすいのが原因。大手メーカー品の中には、誤飲すると口や腸を傷つける可能性がある金属片が入っている製品もあり、保護者の注意が必要だ。
「子どもが加熱式たばこを食べたかもしれない」
7カ月の女児が8月、浜田医療センター(浜田市浅井町)を受診した。父親と寝ていた女児が先に目を覚まし、父親が枕元に置いていた加熱式たばこで遊んでいたという。女児の周りにはたばこが散乱。1本は先がない状態で見つかった。
診察した小児科の平出智裕医師によると、女児は受診時にやや元気がなく顔面蒼白(そうはく)気味で、その後3回褐色の嘔吐(おうと)をした。緊急入院し点滴を受けて翌朝退院した。便の中からたばこの紙に包まれた金属片(長さ約12ミリ、幅約4ミリ)が見つかった。金属片は角が鋭利で体内を傷つける恐れもあったとする。
金属片は、火を使わずに加熱するために一部メーカーが内蔵。メーカー側も「大けがにつながりかねないとがった金属片が含まれている」などと外箱に記し、注意を促している。
同センターによると、9月にも8カ月の男児が家のごみ箱に入っていた吸い殻をくわえていたとして受診した。
誤飲は全国で後を絶たない。2024年に日本中毒情報センターに寄せられた5歳以下の誤飲・誤食等の相談では、たばこ関連品が化粧品に次いで2番目に多い1436件。このうち7割超が加熱式たばこで、紙巻を大きく上回った。
加熱式は紙巻より小ぶりで、子どもが飲み込みやすい。火が出ないため本体に挿したまま机に放置したり、吸い殻をリビングのごみ箱に捨てたりして、誤飲につながるケースが増えているという。
子育て世代に当たる20~30代の喫煙者の間では、男女ともに加熱式が主流になっており、家庭での管理に一層の注意が必要だ。
平出医師は、子どもが誤飲した場合、水や牛乳を飲ませず直ちに医療機関を受診してほしいとした上で、「乳幼児の手が届くところに置かないことを徹底してほしい」と呼びかけた。
(中村成美)














