江戸時代に建てられた屋敷内で、同時代の落語を披露する桂力造さん=島根県隠岐の島町郡、都万目の民家
江戸時代に建てられた屋敷内で、同時代の落語を披露する桂力造さん=島根県隠岐の島町郡、都万目の民家

 島根県隠岐の島町でこのほど、上方落語の桂米朝一門会が開かれ、人間国宝の系譜を受け継ぐ話芸に90人が聞き入り、笑顔になった。

 大師匠の桂米朝さんが以前に隠岐諸島で一門会を開いた縁から、史跡を活用した文化芸術公演実行委員会が主催した。初日は同町池田の隠岐国分寺本堂、翌日は同町郡の豪農屋敷「都万目の民家」であった。

 高座には桂小鯛さん(41)、桂力造さん(47)、桂文之助さん(69)が上がった。都万目の民家では江戸時代に建てられた屋敷の二間をつなげて会場にし40人が集まった。

 力造さんは「会場が大きすぎて客が少ない、小さすぎてぎゅうぎゅうより今日ぐらいの所がちょうどいい」と屋敷を枕に取り上げ、古典落語「禁酒番屋」を始めた。禁酒令で町人を取り締まる役人がカステラや油に偽装された酒に酔い、町人からしっぺ返しを食らう様子を臨場感たっぷりに話した。

 同町山田の農業、田中井秀和さん(86)は「テレビで見たことはあるが、本当の落語は初めて。面白くて利口になるね」と喜んだ。実行委の重栖隆快会長(64)は「地域の人が史跡に足を運ぶ機会になった。史跡を隠岐の活性化につなげたい」と話した。

(鎌田剛)