小室家の金銭トラブルに端を発した秋篠宮家の長女眞子さまの結婚問題は、慣例である関連儀式を見送ることで「皇室」とは一線を画し、「個人」の選択として決着が図られる方向となった。批判的な世論がやまない中、国民の理解と信頼を基に成り立つ皇室にとって苦渋の対応だ。皇室活動や皇位継承議論への影響を懸念した収拾策だが、皇族の人権尊重を巡る課題も浮き彫りになった。
トラブルの内容は本来、結婚そのものとは無関係だが、国民が皇室に期待する「品位」や「規範性」と相いれないとして過剰に非難されてきた。そのまま結婚を認めれば、皇室全体のイメージ悪化は避けられない状況に陥る恐れがあった。
結婚を望む2人の意思だけでは解決は困難となり、皇位継承策を議論する政府の有識者会議では、今回の問題を念頭に女系天皇の反対論が噴出した。皇室制度の在り方にまで波及する深刻な事態で、収束を急ぐ必要に迫られていた。
一方で、結婚問題を通じ、女性皇族に課された制約と、人権の尊重をあいまいにしている法制度の現状が改めて浮かび上がったのも事実だ。問題をスキャンダルとして終わらせず、皇室制度が内包する自己犠牲の側面を考える契機とすべきだろう。