参加者に一流の技術を披露する藤平昌代さん(右)=益田市有明町、島根県芸術文化センター・グラントワ
参加者に一流の技術を披露する藤平昌代さん(右)=益田市有明町、島根県芸術文化センター・グラントワ

 【益田】島根県芸術文化センター・グラントワ(益田市有明町)で16日、同県吉賀町出身の世界的ファッションデザイナー森英恵さんのアシスタントを務めた藤平昌代さん(58)を講師に招き、手縫いに挑戦するワークショップがあった。参加者約30人がオートクチュールの繊細な技術を学んだ。

 島根県立石見美術館で開催中の森英恵さんの生誕100年を記念した企画展「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」に関連して開かれた。

 裾のまつり方とくるみボタンに挑戦した。裾のまつり方では、ふっくらとした裾の折り目を生むため、繊維に対して斜めに切り出した薄布を内側に挟んで縫った。藤平さんは、繊維が斜め向きだと布を折ってもつぶれにくく「ふっくらとした厚みが生まれる」とこだわりを説明した。

 衣装に縫い糸が目立たないように縫い方にも工夫を凝らす。折った布の内側を縫い合わせる「奥まつり」で、藤平さんは「糸が見えないように布の織り糸1本だけをすくって縫いましょう」と、30秒足らずで素早く縫い合わせた。一流の技術が披露され、参加者から驚きの声が上がった。

 約5年前から趣味で洋服を作る大阪市の会社員、宮下果江さん(46)は「見えないところまで丁寧に縫うこだわりを知ることができて勉強になった」と話した。(堀尾珠里花)