国土交通省は、特定エリアは車の運転を完全自動化する「レベル4」を見据え、車両の具体的な性能要件を策定する。逆走やあおり運転などトラブルに直面しても、システムが危険回避することを求める。確実に事故を防ぎ、国内メーカーの開発を後押しする狙い。来年度から調査に着手、遅くとも2025年度までに保安基準のガイドラインとしてまとめる。
レベル4は完全自動運転の一歩手前。政府は22年度に地域限定で無人運転の移動サービスを開始し、一般車は25年度をめどに高速道路走行の実現を目指している。
調査は、一般ドライバーの事例を収集するほか、シミュレーターによる実験や、交通事故裁判の判例を活用。逆走やあおり運転、落石、突然の飛び出しといった想定外の事態が起きた場合、急ブレーキや徐行、車線移動など、人がどの程度の反応時間でどんな行動をしているのか分析する。
この結果に基づいて自動運転でもシステムが対応すべき責任の範囲を明確にする。ただ、やむを得ず事故が起きた場合にシステムの判断が妥当だったと国民の理解を得ることが課題になる。
自動運転に対応した改正道路運送車両法と、保安基準は昨年4月に施行されたが、レベル4の取り扱いはあいまいな部分があった。レベル4を巡っては、警察庁も道交法改正を視野にルール作りを検討している。