新型コロナウイルス感染「第5波」で、47都道府県と20政令市のうち25自治体が、病院に入院できない患者の受け皿となる臨時医療施設などを「開設または開設予定」としていることが4日、共同通信調査で分かった。施設数は少なくとも40に上る。「検討中」は島根県など21自治体。全体の95%に当たる64自治体は、施設整備の上で医療人材の確保を課題に挙げた。
各地で病床逼迫(ひっぱく)が続き、自宅療養者は13万人を超えた。政府は応急策としてこうした施設で患者を受け入れることで病床使用率を下げ、緊急事態宣言解除につなげる狙い。ただ、受け皿ができても十分な医師、看護師がいなければ治療や看護の質に懸念も残り、対策が急務だ。
調査は8月26日~9月2日にかけて実施し、第5波が始まった7月以降の整備状況を尋ねた。
25自治体のうち、13自治体は重症化を抑える「抗体カクテル療法」などの医療行為が行える施設を整えた。福井県は体育館にベッドなどを整備。愛媛県はホテルなどの宿泊療養施設の一部で治療を行える形にした。
25自治体のうち、岐阜県など16自治体は酸素ステーションや入院待機ステーションを整備する。
このほか岩手県や神戸市など9自治体は臨時医療施設は作らず、病床逼迫に備えて宿泊療養施設を増設する。
検討中とした島根県は、現在開設していない理由について「病床がそこまで不足しておらず必要ない」などを挙げた。
対象自治体に受け皿整備にあたっての課題(複数回答)も尋ねた。「医師・看護師などの医療人材の確保」が95・5%、「適切な場所の選定・確保」が65・6%と続いた。病床逼迫を打開するために必要な策を問うと、「医療人材確保の調整など国のリーダーシップ」が70・1%で最多。次いで「医療人材への報酬アップ」が40・2%だった。
厚生労働省は8月25日、病床確保が追いつかない事態を受け、一時的に患者を受け入れる臨時医療施設を整備するよう自治体に要請していた。