大ヒット受験漫画「ドラゴン桜」などで知られる漫画家三田紀房さんが漫画家デビューしたのは30歳の頃だ。少年時代も漫画が好きだったわけでなく、漫画家になるつもりもなかったという三田さんがなぜ漫画家になったのか、そして人気作家になったターニングポイントを聞いた。(共同通信=近藤誠)

 ▽5万円でも、10万円でもほしい

 ―著書の「ボクは漫画家もどき」によると、岩手県で営んでいた家業の洋品店の負債に苦しみ、賞金目当てで新人賞に応募したのがきっかけとあります。普通は「いきなり飛び込んで大丈夫か」「知識や下積みが足らないんじゃないか」などと尻込みしそうですが。

 「とにかく5万円でも10万円でも賞金が欲しいと思っただけなんですよ。そこからデビューして漫画で稼ぐ、というイメージは全くなかった」

 「いちいち準備ってしないんですよ、商売って。洋品店でも、まず何をするかと言うと売れてる店に行くわけです...