スポーツ用に市販される酸素缶。新型コロナウイルスの自宅療養者は酸素缶をあてにせず、体調に変化があれば素早く保健所などに連絡を入れる必要がある
スポーツ用に市販される酸素缶。新型コロナウイルスの自宅療養者は酸素缶をあてにせず、体調に変化があれば素早く保健所などに連絡を入れる必要がある

 スポーツや登山などで息切れしそうな時に使う「酸素缶」の品薄状態が、9月に入ってから山陰両県の量販店で続く。東京では、新型コロナウイルスに感染して自宅療養し、酸素不足なった場合に備えて家庭で保有しているケースが多いという。山陰でも同じ傾向とみられるが、医師は「効果は限定的」と指摘し、頼るのは危険だと警告している。 (多賀芳文)

 酸素缶は凝縮した酸素を持ち運べるようにしたもので、ドラッグストアやスポーツ用品店などで買うことができる。9月上旬に少なくとも松江市内の10店舗以上の販売店で酸素缶が品切れ状態になった。ある販売員は「(山陰両県でも)自宅療養が始まった影響があるかもしれない」と話す。

 スポーツ用の酸素缶を生産するピップ(大阪市)広報宣伝部によると、8月の受注数は前年同月比で10倍だという。

 広報担当者は「(あくまで)使用目的はスポーツ直後の一時的な酸素補給」と強調し、新型コロナ感染に伴う酸素不足を補うものでないとする。

 実際、医療現場で必要とする酸素量との差は、歴然としている。

 松江赤十字病院(松江市母衣町)の田辺翔太・救急総合診療科部長によると例えば、仮に自宅療養の患者が中等症になった場合、24時間で7200リットル(1分当たり5リットルで計算)の酸素が必要になるという。一方で酸素缶は1缶の容量が5リットル程度。連続使用でたった2分しかもたない。

 山陰両県では、中等症以上の患者は、医療機関に入院が可能な状況だ。田辺部長は「自宅療養中に体調が優れない場合に『酸素缶があるから様子をみよう』となるのであれば危険だ。迷わず保健所に連絡し、医療機関で治療を受けてほしい」と強調する。