政府は13日、新型コロナウイルスワクチンの2回の接種を完了した人が人口の50・9%に達したとする集計結果を発表した。1回接種は63・0%で米国にほぼ並んだ。月末には2回接種完了が60%を超え欧州並みになるとしている。政府は希望者へのワクチン接種が完了する11月をめどに行動制限の緩和を目指している。それまでに地域差を改善し、若者への接種率を上げることが、感染対策と経済を両立させる鍵となる。
国内でのワクチン接種開始からほぼ7カ月。審査に時間をかけたことや供給不足の影響で、欧米に比べて遅れが目立ったが、職場接種や大規模接種会場の設置などにより、猛追した。加藤勝信官房長官は13日の会見で「自治体、医療関係者と協力し、緊密な連携を図って取り組んできた成果だ」と述べた。
政府集計によると、総接種回数は1億4431万回。1回目を終えたのは7983万人で人口の63・0%、2回目は6447万人で50・9%だった。65歳以上の2回目接種率は88・0%と高い水準に達した。一方、遅れて接種が始まった64歳以下は27・6%にとどまる。
職場接種を除いた2回目の接種率を都道府県別に比較すると、高いのは山口61・8%、和歌山58・9%、熊本58・9%。反対に低いのは沖縄42・7%、栃木43・6%、埼玉44・0%の順だった。島根は53・1%、鳥取は54・6%。
米疾病対策センター(CDC)によると、米国の12日時点の接種率は1回目が63・1%、2回目が53・8%。英オックスフォード大の研究者らが運営する「アワー・ワールド・イン・データ」によると、欧州では11日時点で英国64%、フランス62%、ドイツ61%が2回接種を終えている。
ワクチン接種を2回終えた人は、感染や重症化のリスクが低くなることが国内のデータからも明らかになってきている。菅義偉首相は9日の会見で「感染対策はワクチンが切り札」と述べた。一方、接種から時間がたつと、効果が低下する懸念が指摘され、厚生労働省は近く、3回目接種について議論を始める。
2回目接種完了50%超 ワクチン 地域差改善が課題
新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」で、治療や療養が必要な人の合計である「療養者数」が、過去最多となった1日時点で、東京や愛知、鳥取など26都府県で最大想定数を超えたことが13日、分かった。想定の3~5倍になった地域もあり、超過した人数の合計は約7万9千人で、全体の4割に迫った。都道府県は想定を基に緊急時の病床確保計画を作成しているが、前提が崩れた形だ。入院できない上に健康観察が十分できなかったケースが多いとみられ、対策の見直しが求められる。
厚生労働省の集計に基づき、全国の療養者が過去最多の計約20万7千人となった1日時点と、各都道府県の計画を比較した。療養者数は、入院患者、宿泊施設での療養者、自宅療養者、療養先調整中の人の合計。
26都府県のうち、想定を超えた割合が最大だったのは三重で5・5倍。想定780人に対し実際は4282人だった。京都は4・2倍の8055人、静岡は3・4倍の5151人だった。鳥取は1・1倍の255人。島根は超過せず0・8倍の265人だった。
超過人数別に見ると、愛知が1万2476人で最も多かった。想定6675人に対し実際は1万9151人だった。東京9655人、神奈川8614人と続いた。
想定を大きく超えた地域では、患者を一時的に受け入れる酸素ステーションの整備などを進めている。
厚労省は療養者数を毎週公表しており、8日時点は全国で計約15万9千人。1日時点より減ったものの、愛知は増えた。