島根県内で土砂崩れなどの可能性が特に高い土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)が、中山間地域を中心に2万898カ所に上ると、県が14日発表した。2001年の土砂災害防止法施行後、指定作業の完了まで約20年かかった。指定区域での住宅の新築や増改築に規制がかかるため、指定手続きに携わる自治体が積極的ではなかったことが背景にあるが、77人が犠牲となった14年の広島市の土砂災害をきっかけに一気に手続きが進んだ。(曽田元気)
レッドゾーンは地滑りや崖崩れなどで住民に危険が及ぶ土砂災害警戒区域(イエローゾーン)のうち、家屋や人命への危険度が高い区域。
県内全19市町村で指定された2万898カ所のうち崖崩れの可能性があるのが1万8069カ所、土石流の恐れは2829カ所だった。
市町村別の最多は浜田市の2784カ所で、雲南市が2496カ所、松江市が2388カ所と続いた。
レッドゾーンは県が調査して予定区域を決め、市町村の意見を聞いて指定を進める。しかし、指定されれば住宅の増改築や新築時に補強工事が必要となり、費用も高額なため、県の照会に指定見送りを求める自治体が相次ぎ、2014年の広島市の土砂災害が発生するまで、指定したのは江津市のみにとどまっていた。
県砂防課の仙田敦志企画防災グループリーダーは市町村や住民理解が進んだとし「危険箇所を周知し、適切な避難につなげたい」と話した。
住んでいる場所がレッドゾーンに当たるかどうかは県のホームページ「マップonしまね」で確認することができる。
21年3月末の国土交通省の集計で、中国5県のレッドゾーンの指定は広島4万5070カ所、山口2万3839カ所、岡山9533カ所、鳥取5211カ所。