客室にした蔵を案内する山田洋介店主=奥出雲町鴨倉、蔵宿うずまき
客室にした蔵を案内する山田洋介店主=奥出雲町鴨倉、蔵宿うずまき

 田園風景が広がる奥出雲町鴨倉に、古民家の蔵を客室にした1日1組限定の宿泊施設がオープンした。Iターンした神奈川県出身の男性が開業し、昔ながらの五右衛門風呂など非日常体験を通じて、豊かな田舎暮らしを発信する。 (久保田康之)

 昨年8月に奥出雲町に移住した山田洋介さん(44)。約10年間、東京都内のイタリアンレストランで料理の腕を磨いた後、東日本大震災を機に沖縄へ渡り、農園で働きながら自宅やイベント会場に出向く出張料理を手掛けた。

 当時、米こうじ作りで知人から奥出雲町のコメ農家を紹介され、2016年ごろに初めて来町した。豊富な食材や自然環境にほれ込み、その後、新たな挑戦の場として移住を決断。蔵のある物件は、町の空き家バンクを通じて購入し、開業の準備を進めてきた。

 「蔵宿うずまき」という宿名で、7月下旬に営業を始めた。母屋の古民家には五右衛門風呂やかまどを備え、蔵は歴史の面影を残した上で1階と2階をフローリングにし最大4人が泊まれる。年内はプレオープン期間で、料金は1人1万5千円(小学生以下は半額、3歳までは無料)。

 イノシシ肉や旬の野菜など地元食材を使った7~8品のコース料理(5千円)もあり、ランチやディナーのみの利用も1組10人まで受け付ける。

 将来的にはコメや野菜の収穫やみそ造りなどの体験プログラムを用意する計画。山田さんは「来てくれる人に満足して帰ってもらえる環境整備を進めていきたい」と意気込む。

 食事、宿泊とも3日前までの予約が必要。場所は国道314号沿いの道の駅「おろちの里」(雲南市木次町北原)から南へ車で約10分。問い合わせは、電話050(3695)9009。