日本精神科病院協会(日精協)は15日、精神科病院に入院中に新型コロナウイルス感染が確認され、転院を要請してもできずに死亡した患者が235人に上ったとの調査結果を公表した。精神科病院では感染症治療には限界がある一方、転院しにくい状況があるとして「極めて由々しき事態」としている。

 日精協は転院できなかった理由について、国内の病床逼迫(ひっぱく)という全体的な要因か、精神科病院特有の要因かの特定は困難としている。一方で「日常から精神症状を理由に受け入れてもらえないことはあり、その延長線上ということも考えられる」と指摘した。

 調査は8月下旬、会員1185の民間病院に実施。回答の得られた711病院のうち4割を超える310病院で陽性者が出ていた。陽性者数は入院患者3602人、病院職員1489人の計5091人となった。

 精神科病院を巡っては、沖縄県うるま市のうるま記念病院で大規模なクラスター(感染者集団)が発生するなど問題となっている。日精協は、同病院は会員病院ではないが事態を重くみて今回の緊急調査を実施した。