17日開幕する島根県高校秋季野球大会に、部員不足の江津と松江西が連合チームで臨む。夏の大会後に3年生が抜けて単独で選手9人をそろえられなくなり、大会に出たいとの強い思いから約110キロの距離を越え、手を組んだ。合同練習は週1回、2時間だけと距離のハンディは否めないものの、一体感を重視した練習で急速に心の距離は縮めており、選手13人が公式戦初勝利を目指す。(原暁)
日本高校野球連盟は2012年5月から、部員不足の救済策として連合チームの公式戦出場を容認。県内では、他校から選手を借りて県レベルの大会に出た例があるほか、16年の秋季大会には江津工と浜田水産の連合チームが出場した。2校連名の連合チームは2例目で、県東部と西部の学校が組むのは初めて。
夏の大会後、3年生が引退して江津、松江西とも6人になり、単独で選手9人をそろえられなくなった。同様に部員不足の隠岐は他の部から助っ人を借り、浜田水産は秋の大会出場を諦めた。
そこで松江西が江津に連合チーム結成を打診。両校とも他の部から助っ人を借りるより、他校の野球部と組んだ方が戦力が高くなるとの思惑が一致した。その後、江津の他の部から1人加わり13人になった。
最初の合同練習は8月20日、開星との練習試合だった。即成チームとあってナインの呼吸が合わず、10点以上の差をつけられ大敗。結果的には「勝ちたい」とチームが結束を強める原動力になった。
土曜か日曜の週1回の合同練習は江津のグラウンドに集まって行う。限られた時間で効率的に練習するため、例えばキャッチボールでも試合の場面を想定するなど質を高めた。指揮を執る松江西の杉田憲彦監督(45)は、練習でミスがあれば、他の選手にも聞こえるように、原因や改善策を語らせ、意識の共有に気を配った。
合同練習での課題は、それぞれ自校での練習の日に向き合った。
仕上がりは順調。チームをまとめる松江西の中村琉汰主将(16)は「積極的な会話が生まれて、良い雰囲気になっている」と手応えを口にする。
杉田監督も「連合と言うと、かわいそうだと思われるかもしれないが、そんなことはない。このチームで勝ち上がることは可能だ」と鼓舞する。
来春の選抜大会につながる秋季大会は浜山球場など4会場で開催。江津・松江西の連合チームは初日の江津市民球場の第1試合で、今夏の島根大会で4強入りした浜田と対戦する。