当確者のバラの前で、メディアのインタビューに答える自民党総裁の高市早苗首相=8日午後10時6分、東京・永田町の党本部
当確者のバラの前で、メディアのインタビューに答える自民党総裁の高市早苗首相=8日午後10時6分、東京・永田町の党本部

 雪嵐が去った後に景色が一変したような選挙だった。8日に投開票された衆院選で自民党は歴史的大勝を果たした。単独で3分の2超の議席を占めるのは戦後初。選挙史に残る「高市旋風」の出現だ。

 高市早苗首相は「首相にふさわしいのは誰かを選んでほしい」と訴え、自民候補も高市氏との一体感を強調。政権選択というよりリーダー選択の様相で、どこか大統領選挙に似ていた。首相人気が旋風を起こした例は2005年の郵政選挙(小泉純一郎首相)、14年のアベノミクス選挙(安倍晋三首相)があるが、今回の風速はそれを大きく上回った。

 与党が大勝すると「有権者が政治に安定を求めた」と記事にすることが多い。安定を求めると選挙戦術は組織票に頼りがちになるのだが、今回有権者が求めたのは安定より安心だったのでは。安心には定義はなく、期待感が投票行動に雪崩現象を起こす。

 直前まで政治の不安定化や多党連立時代の到来がささやかれていた。その窮地を持ちこたえ政権を移管した石破茂前首相のことも忘れてはならないが、高市氏があまりにも鮮やか過ぎた。

 消費減税の陰で憲法や安全保障などの議論は限定的だった。一方、山陰両県4小選挙区の当選者は一様に「地元課題解決」に力を入れていた。選挙区は本来それが原点。超多数派を占めたからこそ、安心を求めて託した地方の声が薄まらないように取り組んでほしいと思う。(裕)