参院厚労委の閉会中審査で答弁する新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長=16日午前
参院厚労委の閉会中審査で答弁する新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長=16日午前

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は16日の参院厚生労働委員会で、今後、緊急事態宣言を出した場合でも飲食店の酒類提供を認める政府の行動制限緩和方針に異論を唱えた。「緊急事態下にそういうことをするべきでない」と強調。日本の医療制度を巡り「根本的な見直しが必要だ」とも述べた。

 政府は、10月から11月の早い時期に希望者全員のワクチン接種完了を想定する。接種の進展を前提に、宣言下でも行動制限を緩和し、酒の提供や旅行、大規模イベント開催も認める方針。尾身氏は「ワクチンの感染予防効果はそれほど完璧でない」と指摘した。

 医療体制に関しては「日本の地域医療計画は感染症に対する発想がなかった」とした上で、新型コロナを機に医療体系を見直すべきだとした。

 流行第5波については「新規感染者のピークは一応越えたと思う」との見解を示した。一方で入院患者への対応など医療機関に負荷がかかる状況は続いていると指摘。病床使用率などを「より注視する必要がある」と訴えた。

 立憲民主党の打越さく良と石橋通宏、日本維新の会の東徹各氏への答弁。委員会は閉会中審査として実施した。