名古屋市長選で支持を訴える大塚耕平氏(右)=2024年11月17日、名古屋市
名古屋市長選で支持を訴える大塚耕平氏(右)=2024年11月17日、名古屋市

 思わぬ訃報に耳を疑った。国民民主党代表代行などを務めた元参院議員の大塚耕平さんが2日、66歳で亡くなった。昨夏の参院選に合わせてインタビューした8カ月前は、不調をみじんも感じさせなかった。

 政策通で知られた大塚さん。政界の現状や政治が果たすべき役割を聞く取材に黒色のポロシャツ姿で現れた。2024年11月の名古屋市長選に出馬し、与野党相乗りの支援を受けたにもかかわらず落選した後は、マスコミの取材をほとんど受けていなかったという。

 理由の一つは、選挙期間中に交流サイト(SNS)で「増税派」と決め付ける投稿が広がるなど「デマ」に苦しめられたから。こちらの取材も「名古屋市長選のことはあまり語りたくない」とくぎを刺される中で始まった。

 当事者の言葉は重い。SNS選挙への向き合い方を何とか聞き出すと、「普及のスピードに法律や対策が全く追い付いていない」と指摘。SNSの閲覧数を増やして広告収入を稼ぐために誤情報でも気にしない人がいるとして「誹謗(ひぼう)中傷、捏造(ねつぞう)が飛び交う環境で選挙が行われていることに対する有権者の危機感も足りない」と警鐘を鳴らした。

 「世の中が物事を○か×の表面しか見ない傾向が強まり、理由や背景に関心がなくなっている」との考えには共感した。先月の衆院選は体調不良で出馬を辞退した。自民党大勝後の政治をどう見るのか、もう一度聞きたかった。(吏)