小売店ではたくさんの美容液がひしめく…
小売店ではたくさんの美容液がひしめく…

 コロナ禍で一時落ち込んだ皮膚用化粧品の需要が、ここ3年でようやく復活の兆しを見せている。要因の一つと言えるのが、自分の肌悩みによって成分を選ぶ「成分買い」ブームだ。SNSでは様々な成分名、効能が飛び交い、一般ユーザーにまで浸透。成分に特化した美容液はその恩恵を受けた際たるもので、市場は拡大の一途をたどる。多くの商品、メーカーがひしめく美容液界隈はもはや戦国時代の様相。その背景やトレンドを探った。

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■市場規模1.3兆円超へ、「成分名」で化粧品を選ぶ新トレンドが加速

 経済産業省の発表によると、化粧品国内出荷額は2010年代後半から増加傾向が続き、コロナ禍による落ち込みはあったものの、2023年からは再び上昇傾向。2024年度は1兆3,745億円と前年比5.5%増、2025年度も微増の見込みだ。その4割以上を占めるのが皮膚用化粧品で、中でも化粧水や美容液の人気が上昇している。

 その背景の一つに挙げられるのは、「成分買い」の流行だ。

 「コロナ禍のマスク着用やおうち時間などによってデイリースキンケアへの関心が高まり、その流れに乗って、SNSなどで製品や美容についての情報を投稿する人が増えました。今は『成分買い』というワードがトレンドとなり、以前より需要は高まっています」と語るのは、コスメや日用品など生活雑貨専門店として全国に店舗展開するPLAZAの担当者。

 「特に美容液は商材特性上、配合成分をわかりやすく打ち出すアイテムが多く、成分買いがしやすい。また、日常のケアに手軽に取り入れやすい商材であることから、ヒット商品が多発しています」と、売り場での熱の高まりについて解説する。

 近年、SNSを中心に話題になった成分には、ターンオーバー促進やシワ改善などへの効果が期待されるレチノールや、シミやシワを予防して肌のバリア機能を整えるナイアシンアミドなど、“攻めの成分”がある。それらを高濃度に含む美容液が注目を集めたが、さらに現在では、話題となる成分も多様化。国内外のブランドが相次いで新商品を投入し、美容液市場は戦国時代の様相を呈していったのだ。

 その人気を牽引した存在として見逃せないのが、「アヌア」、「トリデン」をはじめとする韓国ブランドのヒットアイテムだ。背景としては、「美容大国」と言われる韓国の美容トレンドと関連性が高く、PLAZAの担当者も「新たなトレンドを作り出す早さも、韓国ブランドの魅力となっている」と分析する。

 例えば、前述のナイアシンアミドや、2021年にトレンドワードとなったシカのブームの火付け役は韓国ブランド。さらに、肌細胞の修復・再生を促すPDRN、皮脂バランスを整えるアゼライン酸、アンチエイジング効果のあるエクソソーム…などなど。美容系インフルエンサーの発信も相まって、“旬”は次々に移り変わっている。

 その一方で、国産ブランドも負けてはいない。大谷翔平選手のCMでも注目を浴びた「コスメデコルテ」や「カタン」の美容液は検索数が急増するなど、ブームの深化によって国産商品にもスポットが当たる機会が増えているのだ。

 中でもPLAZAでロングヒットとなっているのが、「オバジ」の美容液だという。

 「オバジブランドの看板でもある『オバジCセラムシリーズ』は、市場を長くリードしてきたアイテム。その信頼感からリピーターも多く、PLAZAでもベストセラーとなっています」

■小売店で異彩を放つ国産美容液、製薬会社が貫く“ビタミンC”への圧倒的こだわり

 オバジブランドとは、ロート製薬が肌の生きる力に着目し、製薬技術と科学的エビデンスに基づいて研究・開発した機能性スキンケアブランド。『オバジCセラムシリーズ』は、まだ「成分買い」の言葉など微塵もなかった25年前に、ビタミンCを高濃度・高浸透・超安定化させた高機能美容液として誕生。ピュアビタミンCを主役とし、ロジカルな説得軸で“高機能な美容液”というポジションを確立した。

 小売店に並ぶパステルカラーのスキンケア商品を横目に、異彩を放つオバジコーナー。なんとなく、「本気度がすごい…」と感じたことがある人もいるだろう。その感覚は間違っておらず、高価格帯でありながらも多くのユーザーから支持され続けてきた。

 とはいえ、前述の韓国ブランドの台頭など、美容液市場は激しい競争の最中にあり、ロングラン商品だからといって生き残れるとは限らない。そんな中でもユーザーからは、「1回やめて違うブランドのものを使ったけれど、結局またオバジに戻ってきた」という声も多いと、同社プレステージスキンケア事業部・藤井朋子さんは話す。なぜ、オバジはいまだヒットを続けられているのか。

 藤井さんはその理由について、「単なる表面的な美しさの対象ではなく、肌を“生きている臓器”としてとらえ、本来持つ力を引き出して健やかに保つためには何が必要か。“この成分があるからこの結果が出る”ということを大事にしてきたからではないか」と分析。「それこそが製薬会社である当社のこだわり」と力を込める。

 また、ブームによって多彩な成分が注目を集めているが、同シリーズはビタミンCに特化。長く使われてきたビタミンCの安全性や、幅広いユーザーへのわかりやすさが奏功していると見る。さまざまな商品が存在し、SNSには情報が溢れる現在。この“ブレなさ”もまた、信頼感を醸成しているのであろう。

 藤井さんによると、開発や工場など、社内でも「オバジは効果にこだわるブランド」として浸透しているという。その言葉どおり、25周年を迎えたシリーズのリニューアル(2026年2月)でも「前のオバジを必ず超える」という合言葉のもと、妥協なき研究が重ねられた。新技術“ディープCポーター”により浸透力が進化し、濃密でもなじみやすい仕上がりに。元々が同社の技術が詰まった完璧な処方だっただけに、1つ見直すだけでもバランスが崩れてしまう大変な開発だったそうだ。今回は処方の骨格から見直し、効果実感を強化した商品になったという。

 「ビタミンCは肌に必要不可欠でありながら、人間が作れない成分。目薬や基礎的医薬品を扱う当社は、その大事さを信じて25年間進化させ続けてきました。一時のブームではなく、長く続けていただけると自信を持っていますし、今回もさらにその特徴をアップデートできたかなと思っています」

 ちなみに、そんな進化した『オバジCセラムシリーズ』、使用法についてアドバイスもくれた。

 「スポイトの先は球状になっていて、1滴が同じ容量となり、正しく量れるようになっています。『オバジC25セラムNEO』なら4~5滴というように使用法どおりに使えば、良さはしっかり感じていただけると思います。気になる部分があるならば、重ねつけをしていただければ。高浸透の美容液なので、刺激感が気になる方は乳液の上から使用していただいても問題ありません」

 なんとなく、企業イメージやブランド名、パッケージで美容液を選んでいた時代から、今は一歩進んで中身(機能)で選ぶのが当たり前に。しかし、やみくもにSNSの情報を信じて、次々に乗り換えても効果は実感しにくいだろう。自分の肌に本当に合うものは何か、それをじっくり見極めることが大事なのは言うまでもない。ブームは一時で過ぎ去るものだが、PLAZAでのロングヒットが物語るように、長年の信頼はやはり強い。今回語られたメーカーの研究・開発の姿勢も、大いに参考になるだろう。

(文:河上いつ子)