小野竹喬の晩年作「陽」を解説する千葉潮館長=安来市広瀬町布部、安来市加納美術館
小野竹喬の晩年作「陽」を解説する千葉潮館長=安来市広瀬町布部、安来市加納美術館

 岡山県笠岡市出身で京都を拠点に活動した近代日本画家・小野竹喬(ちっきょう)(1889~1979年)と、太平洋戦争で戦死した長男の春男(1917~43年)の作品展「小野竹喬+春男 親子展」が、安来市加納美術館(安来市広瀬町布部)で開かれている。6月14日まで。

 同美術館の開館30周年を記念した企画展で、所蔵する竹喬の作品33点をはじめ笠岡市立竹喬美術館から借り受けた春男の作品、竹喬愛用のすずりなど計56点を展示した。竹喬は明るく澄んだ色彩で風景を写実的に描き、長男の死を受け、心象風景に向かい、空や雲、太陽を描いた。

 竹喬晩年の作「陽」(1976年)は丸い太陽と雲を描き、太陽の暖色と空の青、白い雲が印象的な作品。竹喬は晩年、仏画の影響で円を好んで描き、千葉潮館長は「具象でありながら心の奥底にある喪失感や祈りを表現している」と説明する。

 春男は1940年に京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大)を卒業し、画家として歩み続けた直後に召集され、26歳で戦死した。横座りの婚約者を描いた絶筆「女性座像」(42年)は着物の柄の描写や差し色の朱色、白足袋のつま先の表現に非凡さを感じさせる。

 午前9時~午後4時半(入館午後4時まで)。休館日は毎週火曜日で、5月5日は開館(5月7日振り替え休館)。入館料一般1100円、大学生550円、高校生以下無料。

(中山竜一)