山陰の選挙

向瀬 慎一 氏

向瀬 慎一 氏むこせ しんいち
肩書き 共産党島根県西部地区委員長
出身 石川県出身
政党 共産党
現新 新人
年齢 52歳
最終学歴 山形大学院工学研究科博士前期課程修了
住所 浜田市金城町
選挙事務所 松江市袖師町
最終更新日:2023年3月23日

第一声要旨

 

 中国電力島根原発2号機再稼働の地元同意を撤回する。再生可能エネルギーの研究開発や省エネを進め、原発ゼロの日本をつくる。

 白線が消えた道路、老朽化した水道の補修が必要。浸水被害が頻発する江の川沿岸の災害対策は、多くが未着手だ。事業で仕事を増やし、命と暮らしを守る。

 保健所体制強化や、保健所や介護現場で働く「ケア労働者」への支援を行う。

 教育や子育て支援では(丸山知事が見直しを進めた)少人数学級を元に戻し、学校給食費ゼロにして、手厚い教育を進める。農林漁業や中小零細企業への支援も重要だ。

 ジェンダー平等社会が求められている。男女間の賃金格差を是正し、審議会の男女割合を50%に進める。

 県西部の米軍機の低空飛行訓練や、岸田内閣の大軍拡は許すことができない。住み続けられる島根を実現する。

 

候補者の横顔

 

機械好き 技術者資格も

 これまで何度も知事選や国政選挙に挑み続けてきた。1989年に入学した大学の学生自治会などで、消費税導入や学費引き上げに対して反対の声を上げたのが、政治の道を志す原点で「生活を守るためには運動が必要」と感じたという。

 故郷で電器店を経営する父の影響で、昔から機械いじりが好きだった。「電気主任技術者」などの資格を取得し、帰省時は父の仕事を手伝う。

 島根県で好きなのは「山と海が近いところ」で、冬場はスキーを楽しむ。移動手段はもっぱら排気量250ccのバイクを使う。走行中に道路の危険箇所を見つけることも多く、インフラ整備の重要性を知事選でも訴える。生活に身近な視点からどんな政策が必要か、考えを巡らせる。

 党の地方議員の選挙に合わせて取った1500通のアンケートを読み解くと、県民の多くが疲弊が進む地域にこのまま住み続けることができるのか、不安に感じていることが分かった。「政治には、命、暮らし、未来がかかっている」と気を引き締める。

 浜田市金城町下来原、52歳。

政策アンケート

(250字以内で回答してもらった)

(1)人口減

 東京一極集中の政策を改め、U・I・Jターンの支援を拡充し、若者の「地方回帰」の流れを後押しする。自治体が行う子育て支援、若者の雇用創出や正社員化の後押し、定住促進策の財政支援を大幅に拡充する。基幹産業である農林水産業の振興と「6次産業化」(第1次産業から第3次産業までを手がける活性化策)の支援、中小企業と小規模事業者の振興、観光産業や地域おこしなどの振興策、住宅や商店のリフォーム助成の支援、再生可能エネルギーの地産地消など、自治体が取り組む真の地域活性化策を全力で支援する。

(2)コロナ

 コロナ危機は、医療・保健所体制の重要性を浮き彫りにした。しかし、県内の保健所や医療機関などが余力を持って住民に寄り添える人員体制の強化は図られなかった。第8波より大きい第9波が来ない保証はなく、保健所の新増設や職員の抜本増など体制強化、医療従事者や保育士、介護職員など福祉労働者の処遇改善と配置基準の改善が必要。「地域医療構想」の名での公立・公的病院の統廃合や病床削減の撤回を求め、国の圧力に負けず、地域の医療体制を拡充していく。また、コロナ後遺症の全体像の調査や治療費の公費補助が必要と考える。

(3)物価高

 大企業の内部留保に5年間の時限的課税を行い、10兆円の財源をつくって中小企業の賃上げ支援を抜本的に強化する。中小企業の賃上げへ直接支援を行いながら最低賃金を時給1500円(手取りで月収20万円程度)に引き上げる。国が基準を決めている看護、介護、保育などの賃金の引き上げ、公契約条例で生活できる賃金を保障する。あらゆる分野で起きている物価高騰には、消費税5%減税が最も効果的。社会保障の拡充で暮らしを支えることは経済対策としても重要で、学校給食の無償化、高すぎる学費の値下げなど教育費の負担軽減も図る。

(4)産業振興

 地域経済の主役である中小企業、農林漁業を支援・振興していく。燃油価格や肥料・飼料価格、各種資材の高騰分など、酪農をはじめ農林漁業者に直接補填(ほてん)する緊急対策を国に求めるとともに、自治体独自での緊急支援をすすめる。肥料・飼料価格安定対策を国の負担で創設・拡充するよう求める。価格保障・所得補償に踏み出し、自給率を向上させる。コロナ対応融資を別枠債務にして、新規融資が受けられるようにする。学校給食に地場の農産物の活用を強める。ウッドショックに対応できる国産材の安定供給・公共建築物での活用をすすめる。

(5)結婚、出産、子育て

 国民が最も求めているのが教育費の負担軽減だ。学校給食費を無償化し、子どもの医療費を国の制度にして18歳までの無料化を求めるとともに、自治体の取り組みをさらに促進する。0~2歳までの保育料も無償化し、給食費も含めた無償化を進める。高校無償化を進めるとともに、児童手当の所得制限をなくし、18歳まで支給するなど拡充する。ひとり親支援を強化し「子どもの貧困」を打開する。就学援助を対象、支給額とも拡大し、周産期医療、妊産婦ケアを充実させる。男女の賃金格差を是正し、非正規雇用の待遇改善を進める。

(6)ローカル線

 鉄道の在り方は住民の暮らしと地域づくりに直結する問題であり、鉄道網を維持存続し、未来に引き継ぐことを前提に議論する必要がある。対象路線を抱える自治体の首長は「地方の切り捨てに直結する」(広島県)「一律に(利用者の)人数で切る乱暴なやり方」(愛媛県)と批判している。国が線路・駅などの鉄道インフラを保有・管理し、運行はJRが行う上下分離方式にすべきだ。「公共交通基金」を創設し、安定的な財源を確保するなど国の責任を果たさせる。公共交通網を守るには、国と地方公共団体など行政府による財政補助も不可欠。

(7)原発、エネルギー

 安全な原発などあり得ず、県民の願いは原発のない島根である。再生可能エネルギー推進で新たな雇用と産業を創出する。30キロ圏内には約46万人が生活し、このうち、県内には入院患者・社会福祉施設入所者が約1万3千人、3万人超の在宅要援護者が生活している。現行の避難計画は、入院患者は山陽3県、四国、関西までの転院を想定し、入院患者、医療関係者からは「命と健康を顧みない冷酷な計画」という声が上がっている。原発事故時、病院や福祉施設などでの大混乱は避けられず、医療機関や各施設への詳細な調査、ヒアリングを行う。

(8)教育

 学校現場は多忙化が止まらない上に教育の自主性が損なわれ、教職員は疲弊し、教員のなり手が見つからない「教員不足」が社会問題になっている。本格的な少人数学級は、子ども全員が主体的に参加するなど授業の在り方を変え、学級の雰囲気が落ち着き、安心が広がる。教育に新しい可能性をもたらす少人数学級を推進する。教員不足解決には、教員の働き方の改善以外にない。教職員定数の抜本増と併せ、無駄な報告書の作成や見せるための公開研究授業、全国学力テストなど、子どもに直接向き合うこと以外の業務をいったん中止する。

 

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