近視が進む児童に対し、スマートフォンやゲームの使い方に注意を促す市岡伊久子院長=松江市朝日町、市岡眼科
近視が進む児童に対し、スマートフォンやゲームの使い方に注意を促す市岡伊久子院長=松江市朝日町、市岡眼科

 新型コロナウイルスの影響で、家で過ごす時間が多くなると頼りになるのがタブレット端末。学校でも国の方針で「1人1台」導入となり、子どもも使う機会が増えている。気をつけたいのは、見過ぎによる近視の進行や、姿勢の悪化。島根県内の専門家は、画面から目を離すだけでなく、体操や近くの散歩などを意識的に取り入れてほしいと訴える。(報道部・古瀬弘治)

「近視が倍以上」
 9月上旬、島根県眼科医会理事を務める市岡伊久子医師(62)の元を小学生が受診した。

 「近視がこの1年で倍以上に進行しています」

 市岡医師が視力検査の結果を基に、小学4年の池淵叶人君(10)に語りかけた。

 20分間手元の作業をしたら、20秒間、約6メートル離れた場所を見る習慣を付けるよう呼び掛け、タブレットの使い方やスマートフォンのゲームのやり過ぎにも注意を促した。

 母幸子さん(46)によると、コロナ禍で通っていた塾がタブレット端末を使ったオンライン授業になり、ゲームをする時間も増えた。その都度「明るい場所で、画面から離れて使って」と伝えるが、気付くと守られていないことがしばしばあるという。

 島根県内で、コロナ禍で近視患者が増えているとしたデータはないが、市岡医師は、近視の受診者が目立っていると感じる。県眼科医会によると、研究が進む台湾では、屋外での活動時間減少と近視の進行が密接に関わるとした研究結果もあるという。意識して気を付けるに越したことはない。

姿勢をよく
 タブレット導入を促した文部科学省は、姿勢をよくする▽目線を画面と垂直にして▽30センチ以上離す▽深く座る▽机はひじが直角になる高さーなど。それでも授業やゲームに集中していれば姿勢が悪くなる。

 タブレット使用による姿勢悪化は、体のこわばりにつながると、みどり整骨院(松江市田和山町)の作野卓史代表(43)は指摘する。

 ろっ骨を開き、肩甲骨を寄せるゆっくりとした体操を勧め「学校や家庭で、少し空いた時間に実践してほしい」と話す。
 

ろっ骨を開き、肩甲骨を寄せる体操=松江市田和山町、みどり整骨院

 近視進行は子どもだけでなく、テレワークなどが浸透する大人たちも注意が必要。県眼科医会の高梨泰至会長は「タブレットやスマホなどを使い過ぎることなく、近くの散歩や外で遊ぶなどそれぞれ対策を取ってほしい」と話した。