市内では電子部品メーカーの雇用拡大に伴い、15年前ごろからブラジル人が増加。8月末時点で2099世帯に3584人が生活する。人材派遣会社が用意した住居や民間アパートなどで暮らし、日本語を話せない人も多い。
配属されたのは、斐川交番の島津旦彦巡査部長(34)と、出雲市駅前交番の山尾波奈巡査長(26)。2人が受け持つ地域は多くのブラジル人が住んでおり、昨年、県警の研修制度に参加し、5カ月にわたって県外の語学学校でポルトガル語を学んだ。
県警には韓国語やタガログ語(フィリピンの公用語)などを習得した「通訳官」の警察官が33人いるが、ポルトガル語を操れる人はいなかった。このため、県内に10人いる民間の「通訳人」に協力を頼んできたが、緊急時の対応などが課題となっていた。
山尾巡査長は配属後、管内で自転車の鍵掛けを呼び掛けるポルトガル語のチラシを配ったり、各家庭を訪れる巡回連絡を担当。訪問を受けた英語講師のヤマダ・アルトゥールさん(28)は「日本語になかなか慣れず、ポルトガル語が話せる警察官がいるととても安心する」と話す。
過去に外国人が関わる事件でコミュニケーションがうまく取れず、悔しい思いをした山尾さんは「事件事故の場合、少しでも聞き間違えると大変なことになる」と強調。通訳業務は高い技量が求められるため、「ラジオを聞いたり、ブラジル人と積極的に会話したりして聞く能力を高めたい」と意気込む。
2人は今後も語学力の向上に努め、事件の捜査や取り調べを担当できる通訳官の資格取得を目指すという。 ブラジル人が多く暮らす出雲市内の交番に今年、ポルトガル語を学んだ2人の警察官が配属された。ブラジルの公用語を話せる警察官は県内初で、日本人と同じように地域で安心して暮らせるよう事件・事故の通報対応や巡回、相談業務に当たる。 (井上雅子)













