ポップアートの旗手アンディ・ウォーホルのミューズとして60年代に一世を風靡した、ドイツ人歌手・ニコの晩年を描く異色の音楽伝記ドラマ『残響のメロディ 魂の放浪者ニコ、最後の旅路』が、7月17日より、東京・キノシネマ新宿、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国で順次公開される。
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伝説的ロックバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドが1967年に発表したデビューアルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』は、ウォーホルが手がけた“バナナジャケット”でも知られ、ロック史に残る名盤として今なお語り継がれている。
そのアルバムに参加し、“歌姫”として強烈な存在感を放ったニコ(本名:クリスタ・ペーフゲン)。映画では、「その歌声は魂の救済か、破滅の始まりか――」というコピーのもと、伝説のアイコンではなく、一人の女性“クリスタ”としての人生に迫っていく。
1986年、英マンチェスターで孤独に暮らすニコは、過去の名声から距離を置きながらヨーロッパツアーへ出る。しかし、その旅は薬物依存や精神的不安定、周囲との軋轢(あつれき)と向き合う過酷なものだった。
ステージで歌う“ニコ”としてではなく、一人の女性“クリスタ”として生き直そうとする姿を描きながら、アラン・ドロンとの間に生まれた息子アリとの関係や、東欧でのアンダーグラウンド公演などを通して、彼女の人生と音楽が再び動き出していく。
主演を務めるのは、トリーヌ・ディルホム。『未来を生きる君たちへ』(2010年)などで知られるデンマークの国民的俳優で、本作では歌唱も自ら担当。神格化されたロックスターではなく、怒りや弱さを抱えた“人間ニコ”を体現している。
新しいマネージャー、リチャード役で『グレゴリーズ・ガール』(1980年)主演のジョン・ゴードン・シンクレア、バイオリニスト・シルヴィア役で、2007年のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『4ヶ月、3週と2日』で主演を務めたアナマリア・マリンカが出演。
監督は、『キアラ』(2022年)、『ミス・マルクス』(2020年)などで知られるイタリアのスザンナ・ニッキャレッリ。本作では、ベネチア国際映画祭でオリゾンティ部門最優秀作品賞を受賞。さらにイタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞でも脚本賞、サウンド賞、メイクアップ賞を受賞するなど、高い評価を獲得している。
1980年代後半の空気感を再現するため、1:1のスクエアフォーマットで撮影。さらに、ジョナス・メカス監督から借り受けた1960年代のニコやウォーホルの映像素材も使用されている。
公開初日の7月17日は、ニコの命日の前日となる。
■スザンナ・ニッキャレッリ監督のコメント
ニコの音楽は確かに難解でしたが、間違いなく当時最も興味深く、妥協のない作品の一つでした。彼女は個人的な探求と、挑発的な実験的解法、そして皮肉を融合させた独自のスタイルを確立し、作品の商業性を一切気にしませんでした。
ディスコ・ミュージックが周囲で爆発的に広がる中、彼女はゴシックやニューウェーブムーブメント、そして80年代のアンダーグラウンド・ミュージックのほとんどに革命的に影響を与えた、陰鬱で不穏な雰囲気の音楽を頑固に作り続けました。
しかし残念ながら、ニコのこの側面を知る人はごくわずかです。ニコは、彼女が関係を持った有名な男性たち、あるいは(アンディ・ウォーホルのスタジオの)ファクトリー、ウォーホル、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドといった経験にのみ結びつけて語られることがほとんどだけれど、ニコはそれらの経験の後に、はるかに多くのことを成し遂げました。
ニコの物語は、妥協を許さないアーティストが多くのファンを失った後になって初めて自身の芸術に満足を見出す物語であり、世界で最も美しい女性の一人が、その美貌を捨て去った時にようやく幸せを見つける物語です。
私はこのことについて映画を作りたかったのです。多くの人が抱いているイメージの裏にある、アイコンの裏にあるニコという女性、つまり「ニコ」という芸名の向こう側にある本当の「クリスタ」についての映画です。そして、彼女の物語を通して、ほかの多くの女性たちの物語も伝えたいと思いました。なぜなら、ニコの寓話は非常に極端ではありますが、女性、芸術家、母親が成熟していく過程で経験する多くの困難を内包しているからです。
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