新型コロナウイルスワクチンの接種歴証明アプリ「ワクパス」の画面表示例=6日午後、東京都千代田区
新型コロナウイルスワクチンの接種歴証明アプリ「ワクパス」の画面表示例=6日午後、東京都千代田区

 新型コロナウイルス禍の収束を見据え、日常生活を取り戻すための動きが活発になってきた。6日は飲食やホテルなどの企業グループがサービスの利用者に特典を付与すると発表し、政府はサッカーJリーグの試合で観客の人数制限を緩和した大規模な実証実験を行った。いずれもワクチンの接種証明を活用した取り組みだ。官民が足並みをそろえて、景気を引っ張る個人消費を刺激する。

 特典付与は近く始まり、エイチ・アイ・エス(HIS)やアパホテル、かっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイト、Jリーグの鹿島アントラーズが参加し、さらに増えそうだ。カッパ・クリエイトは飲食代の10%引き、アパホテルはチェックアウトを1時間無料で延長する特典を検討する。

 接種歴を証明するアプリ「ワクパス」を医療系ベンチャーなどが提供する。利用者はスマートフォンに無料で取り込み、2回接種した情報や身分証明書などを登録すると、アプリ画面に顔写真入りの接種証明が表示される。これを店頭で提示すれば特典がもらえる。

 一方、Jリーグでの実験は愛知県豊田市の豊田スタジアム(約4万4千人収容)が舞台。「ワクチン・検査パッケージ」という政府の仕組みを使い、2回接種済みや検査陰性のいずれかを示す証明を持っている人を1800人まで収容する。

 緊急事態宣言が出ていた愛知県での大規模イベントは9月末まで入場者の上限が5千人だったが、行動制限緩和で1万人まで入れる。6日の試合の観客は実験分を含めて最大1万1800人となった。

 政府は制限緩和の実験を愛知を含めた13道府県で行う予定だ。

 このほか、民間企業では全日本空輸と日本航空が接種済みの乗客に国内線の往復航空券を抽選で贈呈する。