地元住民が参加するクマ被害対策講習会が9日、益田市大谷町であった。近くの久々茂町で3日、ランニング中の男性がクマに襲われけがをしており、専門家から説明を受けた参加者は、人的被害防止に向けた対策へ理解を深めた。
豊川地区住民でつくる地域自治組織「とよかわの未来をつくる会」が開催。野生動物対策技術研究会幹事の大谷浩章さん(54)=久々茂町=を講師に招き、20人が参加した。
大谷さんは初めに、クマの生態や習性について説明。完全な夜行性ではないため昼間も出没し、餌が少ないと行動域も広がると伝えた上で「クマは臆病な性格なので、耕作放棄地や竹林の整備といった隠れ場所をつくらないことが被害防止につながる」と説明した。
クルミや柿の木を使った野外講習もあり、金属製トタンを巻き付ける木登り防止対策や、電気柵設置方法を実演した。
大谷さんは3日の人的被害について、現場付近に食べ物のごみがあるなど、クマを誘引する要因が複数あったと推測。「自治会で連携し、被害が発生してもすぐに対応できる環境づくりが大切となる」と強調した。 (石倉俊直)
★クマ被害を防ぐポイント
<対策例>
・柿はクマの餌となるので、できるだけ早く収穫する。
・木の幹にトタンを巻き、クマを登らせないようにする。
・電気柵は歩いて移動するクマが接触しやすいよう、高さ約60センチが目安。電気線は約20センチの等間隔に設置する。
<外出時の注意点>
・早朝、夕暮れの外出は特に注意。1人で行動しない。
・鈴など継続的に音が出るものを身に着ける。
<クマを見つけたら>
・刺激しないよう、後ずさりしながら移動する。背中を見せて走ってはなら ない。
・襲ってきたら、地面に腹ばいになり、手で首や後頭部を守る姿勢をとる。