「心のケア」人材育成のイメージ
「心のケア」人材育成のイメージ

 厚生労働省は新型コロナウイルスの感染拡大で、収入減や長引く自粛による不安やストレスを抱えている人に対し、各地域で「心のケア」に当たる人材を育成する事業を10月から始めた。専門知識を持った人材を研修で育て、地域の相談体制充実につなげる。

 研修は10~11月にオンラインで実施。自治体や団体から推薦された精神保健福祉士や保健師、公認心理師ら約350人が研修を受ける見通し。専門家による講義のほか、相談事例を基に受講者同士で対処の方法を話し合う時間を設ける。

 自然災害をきっかけとして心の不調を訴えたり、犯罪や事故で被害に遭ったりした人への対応も学ぶ。学んだ知見を基に、受講者が指導者役となって各都道府県や政令市で研修を開き、地域の保健師などにノウハウを広めていく計画だ。

 厚労省によると、全国の精神保健福祉センターに寄せられた新型コロナに関連する電話相談は昨年度約2万7千件に上った。今年4月以降は月2千件前後で推移し、流行「第5波」で感染が急拡大した8月は約3千件と大幅に増加。収入減や失業、感染者増加、外出自粛に対する不安やストレスなどの相談が目立っている。

 厚労省の担当者は「コロナ感染流行による心の不調は深刻だ。地域住民の相談にきめ細かく対応できるように体制を整えていきたい」と話している。