ドラフト会議の開始前は笑顔が絶えなかった西日本工大の隅田は、1位指名で4球団が競合すると、そわそわと落ち着かない様子でテレビを見つめた。事前に1位を公言していた西武が交渉権を得ると、何度もうなずき「この4年間でやり残してきたことはない。また一から頑張りたい」と表情を引き締めた。
長崎・波佐見高時代に左肘の〓(刈のメが緑の旧字体のツクリ)離骨折で2度の手術を経験。3年生だった2017年夏には全国高校選手権に出場したが、プロ野球の世界とは縁が遠かった。しかし、武田監督が「本当に努力家」と評するように大学の4年間で地道に鍛錬を重ね、最速150キロの直球と6種類の変化球を操る本格派左腕に成長。1回戦で敗れた6月の全日本大学選手権は14三振を奪って注目を集めた。
日本代表に強い憧れを抱く。金メダルに輝いた東京五輪は全試合テレビ観戦し「いずれは日の丸を背負ってマウンドに立てる投手になりたい」と刺激を受けた。即戦力として期待される1年目へ「新人王を目指す。10勝できれば上出来」と言う。一方で「150キロを投げる左腕はどこにでもいる。変化球も含めて、完成度を求めてやりたい」と、向上を誓った。