番組を進行する大下容子
番組を進行する大下容子
「大下容子ワイド!スクランブル」より
「大下容子ワイド!スクランブル」より
オンライン取材を受ける斉藤保志チーフプロデューサー。「朝のニュースをご覧になった方でも、飽きずに見ていただけると思っています」
オンライン取材を受ける斉藤保志チーフプロデューサー。「朝のニュースをご覧になった方でも、飽きずに見ていただけると思っています」
番組を進行する大下容子
「大下容子ワイド!スクランブル」より
オンライン取材を受ける斉藤保志チーフプロデューサー。「朝のニュースをご覧になった方でも、飽きずに見ていただけると思っています」

 テレビ朝日系のワイドショー「大下容子ワイド!スクランブル」(月―金曜)が、国際ニュース解説に力を入れる独自路線で好調だ。同時間帯の視聴率が民放トップになる日も増えている。放送開始25年を迎えた「ワイド!」の舞台裏を追った。

▼準備

 日米豪印の共同声明の軍事色が薄まったのはなぜか。ロシア下院選で圧倒的に優勢なプーチン政権がなぜ反体制派を弾圧するのか―。約40分の日替わりの特集で9月に扱った話題だ。自民党総裁選や眞子さまの結婚問題も取り上げたが、半数超が海外ニュースだった。

 メイン司会の大下に項目が伝わるのは放送前日の夕方。毎朝午前5時台には出勤する。「準備が間に合わず、だんだん早くなりました」

 「貧困人口」がゼロになったという中国の習近平政権の成果を検証した特集では、動画中継で農産物を売る「農家ライバー」などを紹介するとともに中国社会に広がる格差への不満をゲストの大学教授が解説した。番組では繰り返し中国を特集し、さまざまな視点で報じてきた。大下は「お互いを知ることが平和に近づく。その隅っこにこういうワイドショーもあればいいなと思う」と話す。

▼背景

 さまざまなニュースをVTRとパネルで解説。司会がコメンテーターに見解を求めながら進行するオーソドックスな構成だからこそ、「硬派」な題材が異彩を放つ。

 斉藤保志チーフプロデューサーによると、新型コロナウイルス禍が契機だという。各国のコロナ対策に注目するうちに、政治体制や社会問題、安全保障についても特集するようになった。「対策や感染状況が国ごとに大きく異なる背景を掘り下げていこうとなった」

 国内外問わず取材班を出すロケが難しくなる一方で、海外ニュースの映像利用が容易になり、リモートによる取材や出演が広がった事情も後押しした。「各局が同じようなニュースを同じようにやる中で、視聴者の興味とスタッフのやりたいことが重なった」。在宅勤務の会社員やステイホームを余儀なくされた若い世代などへの視聴の広がりも感じているという。

▼愛着

 「ワイド!スクランブル」は1996年に始まり、大下は98年からアシスタントの司会に。2018年秋にメイン司会となり、半年後には番組に名が冠された。時代とともに扱う話題の中心は芸能や事件から政治や社会問題になり、情報番組と呼ばれるようになったが「ワイドショー」という名に愛着があるという。

 「コメンテーターやゲストのコメントを通してニュースを多角的に伝えるのがワイドショーの魅力。面白い話題を幅広くという『ワイド』さをなくさないようにしたい」