日韓両国が領有権を主張する竹島(島根県隠岐の島町)に関する情報収集のため、日本国際問題研究所(東京都)の依頼で、山陰中央新報社(松江市殿町)が、過去の新聞記事の調査に乗り出した。同社の前身が戦後の1945~59年に発行した新聞約2万部から竹島関連記事を抜き出して専門家が分析し、竹島の詳しい歴史に迫る。
同研究所によると、これまで竹島に関する新聞記事は、研究者が論文などで部分的に引用する程度で、本格的な調査は行われたことがない。領土問題を扱う同研究所から委託を受け、同社が2月上旬、調査に着手した。
調査対象は、同社の前身が発行した島根新聞と山陰新報の計15年分。現物を縮小撮影したマイクロフィルムが残っており、原寸大に印刷してから、社内外の調査員20人が竹島に関する記事を手作業でより分けている。
韓国が竹島に駐留部隊を派遣したことを報じる54年6月の記事や、政府に対し「この問題に深い関心を持ち、竹島の帰属について速やかに解決するよう外交方策を講じることを強く要請する」と訴える社説などが既に見つかっているという。抽出作業は3月中に終え、今後、専門家が分析に活用する。
調査員を務める島根県竹島問題研究顧問の升田優さん(69)は「生活や漁業など、多様な観点から竹島を見た新聞情報を総合的に調べることで、領土問題がより鮮明に浮かび上がってくるだろう」と期待した。 (吉野仁士)