税の申告遅延など法令違反が指摘されているJFしまね(松江市御手船場町、岸宏会長)に対して島根県が30日、役員の職務の在り方を抜本的に見直すことなどを命じる業務改善命令を出した。県によると、内部管理体制をただす命令は異例で、岸会長をトップとする組織そのものを厳しく追及。岸会長の代理で命令を受けた福本匡弥常務理事は、5月末までに業務改善計画を提出する考えを示した。 (曽田元気、古瀬弘治、片山皓平)
命令書の交付は非公開。松江市殿町の県庁で、県農林水産部の鈴木大造部長が手渡した。
終了後の取材に対し、福本常務理事は「命令を真(しん)摯(し)に受け止め、業務改善に努める。理事会で協議しながら取り組む」と説明。鈴木部長は「今後同じような法令違反が発生しないよう、しっかりとしたガバナンス(企業統治)を確立してほしい」と述べた。
一方、岸会長は命令交付より前に開かれたJFしまねの理事会に出席。報道陣の問いかけには無言を貫いた。
JFしまねについて、県は水産業協同組合法に基づく検査で、法人税や消費税の申告遅延、漁港施設占用料の納付遅延(2017~19年度分)、冷凍施設での管理責任者の選任不備(13年8月~20年9月)など、少なくとも6項目の違反を確認。背景には、全国漁業協同組合連合会の会長も務める岸会長の長期間不在による事務遅延などがあるとみている。
今後、命令に従わない場合は同法の規定に基づき、岸会長を含めた役員の改選を命じることができる。