12選を果たし、笑顔で支援者に手を振る石破茂氏(中央)=31日午後8時59分、鳥取市戎町の事務所(久保田康之撮影)
12選を果たし、笑顔で支援者に手を振る石破茂氏(中央)=31日午後8時59分、鳥取市戎町の事務所(久保田康之撮影)

 自民党前職の石破茂氏は自派閥メンバー応援のため全国を飛び回り、公示後の選挙区入りは3日間にとどまりながらも危なげなく12選を決めた。得票率は前回選を上回る84・1%。「全て皆さまのおかげ」と支持者約70人に感謝の言葉を述べた。

 党内での復権の足掛かりとなる選挙となった。直前の総裁選では、出馬するかどうか揺れ、河野太郎氏支援に回って敗れ、存在感を示せなかった。派閥の退潮に歯止めがかからない中、メンバーの当選に向け連日、秋田県から福岡県まで各地を奔走。「政治とカネ」の問題などで有権者の不信感が募る自民党の改革を打ち出し、地方創生や安全保障政策も訴えた。

 本人不在の地元では、党所属の参院議員や地方議員が「日本一の得票率で国会に送り出す」と気勢を上げた。ただ、総裁選で後退を印象づけた直後とあって陣営は「鳥取県初の首相候補」と有権者の期待感をあおる従来の戦法を封印。4回連続の自共対決という選挙構図も相まって、ムードは高まらなかった。

 午後8時に当選確実が報じられ、鳥取市戎町の事務所では支持者から拍手が湧いた。石破氏は「党改革について訴えると、うなずく人が多かった。有権者は党の説明に納得していない。信頼に値する党でなければならない」と述べ、派閥メンバーの当落を気にしながら事務所を後にした。 (藤井俊行)