31日投開票された衆院選で、鳥取1区は自民党前職の石破茂氏(64)が12選、2区は同党前職の赤沢亮正氏(60)が6選を果たした。2区の立憲民主党元職の湯原俊二氏(58)は5度目の選挙区敗戦となったものの、重複立候補した比例中国ブロック(定数11)で復活当選を遂げた。1区の共産党新人の岡田正和氏(39)は及ばなかった。
自民党前職の赤沢亮正氏が、立憲民主党元職との一騎打ちを制した。「政治とカネ」の問題で自民党に逆風となり、5度目の対戦となった相手は共産、社民両党の後押しも受け向かってきた。「敗戦必至の情勢だった。本当に皆さまの力は強い」と支持者に感謝し、喜びをかみしめた。
戦いを前に、自民党が惨敗した2009年衆院選で湯原俊二氏に626票差に肉薄された記憶が脳裏をかすめた。選挙区で精力的に街頭に立つ相手に対し新型コロナウイルス禍で帰県が限られ、支持者からは「何をしているか分からない」と不満の声も浴びせられた。
公示後、選挙区内をくまなく、繰り返し巡って「助けてください。必ず仕事でお返しします」と有権者に懇願し、地方創生や危機管理体制の強化、党の改革を訴えた。演説は動画に撮って会員制交流サイト(SNS)で拡散し、集会開催が限られるのを補った。
終わってみれば約1万1千票差まで迫られた。それでも、午後8時すぎに米子市西福原1丁目のホテルに集まった支持者約170人に当選確実の報が届き、赤沢氏は赤いネクタイを締めて現れ、拍手に包まれた。
6期目となり、一層の実行力が問われる。「皆さまが後悔しないよう、命懸けでお返ししていきたい」と気を引き締めた。 (田淵浩平)