自習する高校生の質問に応える米原彩栞さん(右)=松江市石橋町、石橋学習室
自習する高校生の質問に応える米原彩栞さん(右)=松江市石橋町、石橋学習室

 新型コロナウイルス禍で海外留学が延期になった20歳の女性が松江市石橋町のパン店2階の空き部屋を借り、中高生向けの有料自習室を開いた。留学できず店でアルバイトをするうち空き部屋の活用を持ち掛けられ、発案した。自らも高校生の頃、夜に自習できる場所がなくて困った経験があり、中高生を温かく見守る。 (黒沢悠太)

 女性は、出雲市出身で昨年春に松江北高校を卒業した米原彩栞(あやか)さん。高校1年の時に豪州に短期留学して海外の大学を志望するようになった。マレーシアのヘルプ大を受験し昨年秋からの留学が決まっていたが、コロナ禍で渡航規制がかかり、留学が延期となった。

 しばらくは落ち込んだが、昨年5月にパン店「パンェブール」でアルバイトを始め、オンラインで英会話講座を受けるようになって元気を取り戻した。

 空き部屋について店長から「何か使えないかな」と持ち掛けられ、活用を構想。高校の後輩からコロナ禍で自習スペースが減っていると聞き、自らの経験も思い出し、自習室に着目した。税理士事務所に勤める父の助言もあり合同会社を起業して約100万円の融資を受け、部屋を改装。今月1日にオープンした。

 「石橋学習室」と名付けた自習室は定員約15人。島根大教育学部の学生がボランティアとして常駐し、米原さんとともに質問や進路相談に応じる。利用する松江北高普通科3年の女子生徒(17)は「机が大きく勉強がしやすい。ここがあってよかった」と喜ぶ。

 米原さんは「お店や家族、島根大の学生さんのおかげでここまでできた。今はこの自習室の充実に全力投球したい」と力を込めた。

 自習室の利用は月額9800円で、11月はお試し期間として無料。平日は午後6~10時、土日曜祝日は午前10時~午後6時に開く。天候などやむを得ない場合を除き休みは無し。問い合わせは石橋学習室、メールアドレスishibashistudy1484@gmail.com