高齢者の消費者トラブルを防ぐための見守りチェックリスト
高齢者の消費者トラブルを防ぐための見守りチェックリスト
「定期購入」に関する60歳以上の相談件数
「定期購入」に関する60歳以上の相談件数
高橋暁子さん
高橋暁子さん
高齢者の消費者トラブルを防ぐための見守りチェックリスト
「定期購入」に関する60歳以上の相談件数
高橋暁子さん

 新型コロナウイルス禍の影響などで、シニア層にも浸透してきたインターネット通販。外出せずに商品が届く便利さで人気だが、トラブルも増えている。専門家は「手順は簡単でも〝落とし穴〟があるという認識が必要。慎重に金額や解約ルールを確認する習慣、家族らの見守りがトラブルを防ぐ」と注意喚起する。

 国民生活センターによると、昨年度に60歳以上から寄せられた通信販売関連の相談件数は10万7千件超で、過去最多に。商品が届かない、有料動画サービスが解約できないなど多様な相談がある中、一定のペースで商品が届く「定期購入」を巡る相談が近年は目立つ。

 70代の女性は、スマートフォンで初回500円程度のダイエットサプリを購入。しかし後日、数カ月分が一度に届いて2万円以上を請求され、クレジットカード決済で自動的に支払うことに。さらに商品が届いたため、販売者に電話をしたがつながらず、指定されたメッセージアプリを使った解約手続きも完了できなかった。

 同センターの担当者は「詐欺の場合もあるが、安いお試し料金に注目した高齢者が定期購入の条件を理解せずに契約した相談も多い」と指摘。サイト内で条件や返品・解約のルールを念入りに確かめるよう注意を促す。

 「デジタル慣れした若者でも失敗しやすい『難しい買い物』という心構えを。最近はコロナ禍で生じた高齢者の健康面や金銭面の不安に付け込む悪質な販売者も少なくない」。そう警鐘を鳴らすのは、ネット関連のトラブルに詳しい成蹊大客員教授の高橋暁子さんだ。

 有効な対策は、過去の購入者のレビューを読むなどして、信用できる販売者を見極めることという。「サクラのような評価が多いサイト、送料が不当に高額な販売者、解約ルールが不明瞭な定期購入は避けてほしい」

 スマホの文字が小さくて読みづらい、購入ボタンを誤って何度も押してしまうなどの初歩的なつまずきも。購入時には家族や周囲の人と一緒に内容を確認するのがお勧め。1人で買う場合は、決済前の画面上で金額や送料、個数を「指さし確認」するのも効果的だ。

 「定年後の男性が周囲に弱みを見せられず相談できないケースや、買ったこと自体を覚えていない高齢者特有のトラブルもよく聞く」と高橋さん。日頃から家族や周囲の人々が高齢者とコミュニケーションを重ねて様子を見守り、異変に気付くことが大切だと語る。

 国民生活センターは、見守りのチェック項目に「家に見慣れないもの、未使用のものが増えていないか」「判断能力に不安を感じることはないか」などを挙げる。もし不安があれば、気軽に消費者ホットライン「188(いやや!)」へ相談するよう呼び掛けている。