隠岐の島町の有志が21日、隠岐島文化会館(隠岐の島町西町)でイタリア歌劇「愛の妙薬」を上演する。歌やオーケストラ、舞台美術、衣装を含む総合芸術とされるオペラを、離島の住民が作り上げる例は珍しく、イタリア語を猛特訓した出演者たちは「町ぐるみで舞台を盛り上げたい」と意気込む。 (森山郷雄)
メンバーは、2019年に始まった隠岐島音楽祭で地元の声楽家・高橋泰臣さん(34)に指導を受けたことがあるオペラ合唱団が母体の合唱18人と、助演9人。地主の娘アディーナと彼女に思いを寄せる農夫ネモリーノに、いかさま薬売りの男たちが絡んで展開される物語を西部劇風にアレンジし、2時間の舞台を仕上げた。
高橋さんや出雲市出身の声楽家・福島明也さん=東京芸大教授=がキャストに加わるが、細かい台本はなく、演技や感情表現、アドリブを出演者が自ら考えるなど島民が主体となって作り上げられたステージで、衣装も自前で準備した。合唱を担当する高橋哲郎さん(57)は「イタリア語の発音に苦労したが、丸暗記した。楽しい舞台にしたい」と話した。
島内の工務店がバーのカウンターや階段といった舞台セットを制作し、商店や飲食店が舞台道具を提供。公演に向けて地元カフェでオペラに着想を得たドリンクが提供されるなど、応援ムードが高まっている。
午後3時開演。入場料は一般3千円、高校生以下千円。サプライズの出演もある。
西部劇風のコスプレでの来場を呼び掛けており、実行委員会代表も務める高橋泰臣さんは「鑑賞する人と一体となったステージにしたい」と話した。