2011年3月11日深夜、東京電力福島第1原発では1号機の暴走が既に始まっていた。首相官邸では、日付が変わろうとする頃、首相菅直人の現地視察の意向が共有され始める。

 「首相の政務秘書官から聞いた時、僕の第一印象は否定的だった。福山哲郎官房副長官や枝野幸男官房長官にも相談したが、同じだった。現場が大変なことは分かり切っていたから。首相に再考を進言したとこ...