ラストステージで熱演する北野倖弥さん(左)と竹島世麗奈さん=大田市祖式町、祖式まちづくりセンター
ラストステージで熱演する北野倖弥さん(左)と竹島世麗奈さん=大田市祖式町、祖式まちづくりセンター

 1人が複数の楽器を持ち替える演奏で知られる大田市立第三中学校(大田市水上町)の吹奏楽部が23日、地元の文化祭で休部前最後の公演に臨んだ。3年生2人の熱演に、会場の約200人から拍手と「ありがとう」の言葉が送られた。 (錦織拓郎)

 独特の奏法は約20年前、少子化に伴い部員が減る中で始まった。大会で優秀な成績を収め、テレビやインターネットでも注目されたものの、全校生徒が12人に減った本年度は部員が3年生のみで、引退とともに休部となる。

 大田市祖式町の祖式まちづくりセンターであった町文化祭で、2人は部の顧問ら3人と共演し、「ひまわりの約束」「虹」「炎(ほむら)」といったアニメのテーマソングやヒット曲を披露した。

 ソロを中心に得意な楽器でじっくり演奏したいと、曲途中で楽器を次々持ち替えるお家芸の早業はなかったが、聴衆は1曲ごとに大きな拍手を送り、アンコールの手拍子も。約30分のステージが終わると花束を2人に贈り、歴史と特色ある部の休止を惜しんだ。

 バリトンサックスを演奏した竹島世麗奈(せれな)さん(15)は「寂しい気持ちはあるが悔いなく終われた」と話し、テナーサックスを奏でた北野倖弥(ゆきみ)さん(14)も「地域の方に囲まれて最後に演奏できて良かった」と感慨深げ。2人から顧問への花束の贈呈もあり、謝意を表した。